第3話

第一部 「静かな入口」

店の扉は古く、開けるたびにかすかに軋む。
ここは小さなアンティーク調のバーだ。聞こえは良いが、実際はただ年季が入っているだけで、客が多いわけでもない。
だが、この静けさを好んでくれる客が、ゆっくりと酒を飲んでいく。それで良いと思ってきた。

最近よく来る青年がいる。ノスケ。
背が高く、細く、栄養が足りてなさそうな身体つき。
どこか影のある目をしているが、礼儀正しく、騒がない。
ビール一杯で長く座るあたり、懐具合は察するものがある。

ある夜、店の扉が再び鳴いた。
入ってきたのはレナという名の女性。
仕事帰りらしく落ち着いた服装で、空気の柔らかい人だった。

「ノスケ君、来てるかなと思って」
そう言って、彼の隣に座った。
二人は恋人というには距離があり、友人にしては目線が優しい。
名前をつけられない関係は、美しくも脆い。

その数日後の夜。
レナは小さな袋を持って来た。
ノスケの誕生日だという。
彼女が渡したのは細いシルバーのブレスレット。
派手ではないが、存在感のある良いものだった。
ノスケはそれを受け取って笑った。
だがその笑顔には、かすかに影があった。

嬉しさと、劣等感。

「ありがとう、本当に…」
そう言いながら、指先が震えていた。
彼は自分が何も返せないことを分かっていた。
彼女はそれでも笑っていた。
「いつか返してくれたらいいよ。今じゃなくて」

その言葉は優しさであり、同時に、ノスケの胸に残る棘にもなっただろう。

その夜、帰り道。
レナが店の前で少し立ち止まって、夜空を見上げていた。
ノスケは後ろから少し遅れて歩き、彼女の横に立った。
言葉はなかった。
けれど、肩と肩がわずかに触れた。

「良い関係だな」と思った。
だが、良い関係ほど、形のないものほど、崩れやすい。
人は、心に余裕がなくなった時、支えられていたものに気づけなくなる。

あのブレスレットが、二人を繋ぐ最後の糸になるとは、まだ誰も知らない。

@nomidokoro.chotto

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♬ オリジナル楽曲 – 呑み処ちょっと – 呑み処ちょっと


第二部 「曖昧な距離」

レナは、ノスケをときどきこの店へ誘った。
待ち合わせの時間より少し早く来て、決まって同じ席に座る。
カウンター中央、ライトの下。
彼女はそこで、少し緊張したようにグラスを両手で包みながら待っていた。

ノスケは、いつも遅れぎみに店へ来た。
理由は聞かない。
きっと、彼自身が自分の時間に追いつけていないのだろう。
生活のペースも、夢も、食事も、すべてがぎりぎりで転がっているような青年だった。

二人で並んで飲んでいる時、レナはよく笑った。
ノスケの話の中にある、夢の破片のような言葉をひとつひとつ拾い上げていた。
「いつかでっかいステージに立ってさ」と言うノスケの目は、その瞬間だけ本物に輝いていた。
レナはその光を、まっすぐ見ていた。

けれど、ノスケはレナを「良い飲み仲間」と呼んだ。
それ以上の言葉を持たなかったのか、持つ余裕がなかったのか。
曖昧な関係は、二人のあいだで長く揺れ続けていた。

ある日、レナがこっそり話してくれた。
「別にね、付き合ってほしいわけじゃないんだけど…」
その前置きが、すでに胸を締め付ける。
「一緒にいる時間が、ちゃんと“何か”だったらいいなって思うの。」
ノスケは笑っていたが、その意味は、きっと届いていなかった。

そして、転機は突然来る。

ノスケのYouTubeに上げた歌が、ある日を境に急に再生され始めたのだ。
SNSで拡散され、コメントが増え、登録者も跳ね上がった。
本人も驚いていたが、同時にどこか浮き足立っていた。

「マスター、俺…いけるかもしれない。」
そう言ったときのノスケは、初めて自分自身に手を伸ばせている人の顔をしていた。
あの夜、レナは彼を見つめながら泣きそうに笑っていた。
自分の望みではなく、彼の夢の背中を押す人の顔だ。

しかし、成功はいつも優しいわけじゃない。

ノスケは忙しくなり、店に来る頻度は増えたが、レナと来ることはなくなった。
そして、話す内容は金と再生数と未来のことだけ。
彼の周りは、急に眩しすぎる世界へ広がり始めていた。

レナは、しばらくしてひとりで来た。
ハイボールを半分飲んで、静かに言った。

「私、あの子のことが好きなんだと思う。」
声は震えていなかった。
けれど、目は何かを諦める準備をしていた。

俺は何も言えなかった。
言葉をかければ、何かを歪めてしまいそうで。

グラスの中の氷が、静かに音を立てて溶けていく。
二人の距離もまた、溶けて、形を失い始めていた。

第三部 「すれ違いの夜」

ノスケが店に来る頻度はさらに増えた。
以前のような静かなビールではなく、派手なカクテルや、値段の高いウイスキーを迷いなく注文するようになった。
俺はそれを止めなかった。
止められる立場でもなかった。

彼はよく話した。
自分の動画の再生数、企業案件、ライブの依頼、ファンからのメッセージ。
その話は確かに眩しかったが、その中にレナの名前は一度も出なかった。

ある夜、レナが久しぶりに店へ来た。
ノスケとは連絡が取れていないと言う。
「忙しいんだろうね」と、無理に明るく笑ったが、その笑顔は細くて薄かった。

その直後のことだ。
偶然、ノスケが扉をくぐってきた。

時間が止まったように思えた。
二人の視線が、店の中の空気を引き締めた。

「……あ、レナ。」
ノスケは軽く手を上げたが、どこか気まずさを隠そうとしていた。
レナは微笑んだ。
その微笑みは、相手を傷つけないためのものだった。

二人は向かい合って座った。
話は弾まなかった。
話せる言葉が、もう互いに同じ場所にはなかった。

レナの視線が、ふとノスケの手首へ向いた。

そこにあるはずの、銀のブレスレットはなかった。

レナは気づかれないように、息をひとつだけ吸った。
ノスケは気づかなかった。
いや、気づかないふりをしたのかもしれない。

「元気そうでよかった。」
レナはそれだけを言って立ち上がった。
その背中は、決めてしまった人の背中だった。

扉の鈴が鳴ったあと、静けさが戻った。
ノスケは何も言わなかった。
ただグラスの中を見ていた。

「なくしたのか?」
俺はあえて聞かなかった。
それは違う。
失くしたのではなく、外したのだ。

ノスケは、その夜、いつになく酔った。
「俺、ちゃんと掴みかけてるんですよ…夢を…」
言葉は熱を帯びていたが、瞳はどこか遠くを見ていた。

成功に手が届くとき、人は大事なものをポケットに入れているつもりで落としてしまう。
そして落としたことに気づけるのは、ずっとあとだ。

この時はまだ、二人の物語が終わったのだと、俺でさえ思っていた。

第4部 「沈む影と灯らない言葉」

ノスケが店に顔を見せなくなっていた頃、噂は自然と耳に入った。
バズっていたYouTubeの収益が落ち始め、再生数もじわじわと下がっているらしい。
本人は何も言わないが、拭えない焦りは、あの細い肩にも影を落としていた。

そんなある晩、店の扉が重く開いた。
ノスケだった。
前に来ていた時のような勢いはない。だが、それを認めたくないプライドが先に立っている。

「マスター、ハイボール。安いやつでいい。」

声は乾いていた。
私は言われた通りに作り、カウンターへ置く。
ノスケはグラスを掴み、喉へ一気に流し込んだ。
酒というより、何かを押し流したかったのだろう。

その数分後、扉がもう一度開く。
レナだ。
いつも通り整った身なり、落ち着いた表情。
けれど一瞬だけ、ノスケと目が合うと、呼吸が浅くなったのがわかった。

「……来てたんだ。」

レナの声は平静を装っていた。
ノスケはグラスを指先で回しながら、目を合わせない。

「別に。来ちゃダメだった?」

その言い方は、どこか突き放すようだった。
本当は余裕がないとき、人は優しさより先にとげが出る。

レナはそれでも、表情を変えない。
大人だ。
自分を守る術を知っている強さを持っていた。

「そうじゃないよ。ただ…久しぶりだなって思って。」

「ふーん。」

沈黙。
氷が溶けていく音だけが聞こえる。

私は氷を足しながら、心の中でそっと息をついた。
二人は、互いに相手を気にしているくせに、真っ直ぐ言葉を投げられない。

レナはグラスを一口飲み、表情だけで強さを保ち続けていた。
弱さを見せたら崩れてしまうと、どこかで知っている人の飲み方だ。

「ノスケ、最近どう?」

「まぁ…普通。」

ほんとは普通じゃない。
でも、言えない。
若さゆえの意地か。
悔しさか。
それとも、レナに見せたくない格好の悪さか。

レナはその嘘を見抜いていたが、追わなかった。
優しさというより、尊厳に触れないという距離感。

「そっか。なら、よかった。」

その言葉は、少し苦かった。

ノスケはグラスを置いて立ち上がる。

「今日は帰るわ。マスター、また。」

そう言いつつ、出口へ向かう。
その背中は小さかった。
あれほど大きな夢を語っていたのに。

レナはただ見送った。
呼び止めない。
追いかけない。
それが、彼の心に触れすぎない優しさだと知っているから。

扉の鈴が鳴る。
ノスケが去り、静かな空気が落ち着いた。

レナはグラスを見つめ、小さく息を吐く。

「強くいられるって、疲れますね。」

その声は震えていなかった。
泣く手前でもなかった。
ただ、確かに痛かった。

私はカウンター越しに言う。

「強い人ほど、誰かの前で弱くなっていいんですよ。」

レナは、かすかに微笑んだ。
それは、崩れないギリギリのところで保たれた、か弱い強さだった。

第5部 「灯が戻る夜」

ノスケが再び店に来るようになったのは、秋口だった。
再生数はさらに落ち、広告収入はほとんど無くなり、期待していた契約も流れたらしい。
SNSの華やかな投稿も止まり、彼のまわりからは人が消えた。
派手な仲間は、金がなければあっという間に消える。
それが現実だ。

ある夜、店の扉が静かに開いた。
ノスケは痩せて、少し疲れた目をしていた。

「……マスター。いつもの、安いやつ。」

私はうなずき、グラスに氷を落とす。
ノスケはそれを受け取り、少しずつ飲んだ。
以前のような勢いで流し込むのではなく、味わうように、噛みしめるように。

「……俺さ、全部失ったわけじゃないのに、なんか空っぽなんだよ。」

その声は、誰に向けたものでもなかった。
ただ、やっと自分に向けて言えた言葉だった。

扉がもう一度開いた。

レナだった。

ノスケは一瞬だけ身体を硬くする。
だが、逃げなかった。

レナはいつも通り落ち着いた表情で席につく。
「こんばんは。」
それだけ言って、視線はノスケに向けない。
強がっている。だけど崩れていない。
そのバランスが痛々しくて、美しかった。

やがて、ノスケが口を開いた。

「レナ。……前はごめん。」

レナは目線をあげる。
責めず、問いたださず、ただ聞く。

「俺、怖かったんだ。
自分がちっぽけすぎて、レナに何も返せないのが。
だから、距離置いた。かっこ悪いよな。」

レナは小さく息を吸い、優しい声で言った。

「かっこ悪くても、逃げなければいい。
それだけで十分だよ。」

ノスケはゆっくりと手首をまくる。
そこには――あのシルバーのブレスレット。

「手放せなかった。
レナのこと、忘れたことなかった。」

レナの唇が震える。
でも涙はこぼさない。
強さはそのまま、ただ心だけが柔らかく揺れていた。

「……じゃあ、また飲もうよ。
前みたいに。
でも前と同じじゃなくていい。」

ノスケはうつむいて笑い、そして顔を上げる。

「うん。
俺、ちゃんとレナと居たい。」

レナはそっと頷いた。

その瞬間、二人の距離はもう、曖昧ではなくなった。

私は二つのグラスに同じ酒を注ぐ。
音は静かで、深く、温かかった。

「おめでとう。
……いや、まだ早いか。
でも、そう言わせてもらうよ。」

ノスケとレナは、視線を合わせて、微笑んだ。

外は相変わらず夜だ。
でもこの店の中だけは、確かに灯がともっていた。

人の心は派手な瞬間ではなく、
静かに戻ってくる場所で、形になる。

この店がその“戻る場所”である限り、
私はそれでいい。

終わり

密会予約

今回の小説はそれぞれのキャストによっての目線を分けて3話にしてみました。先ずは店主目線からお楽しみ下さい。

第2話 ― 店主目線

昼下がりの光が差し込む店内は、夜とはまるで別の顔をしていた。
普段なら静かに掃除や仕込みをしている時間に、今日は特別な予約が入っている。密会予約――久々の利用だった。

現れたのは四十代半ばの男。姿勢は堂々としているが、目元に疲れが滲んでいる。中小企業の社長だと聞いた。隣には三十代前半の女性、取引先の事務員らしい。彼女はきちんとした服装で、真面目さがそのまま形になったような印象を受けた。二人が夫婦でないことは、言葉を交わす前から分かる。

初めての予約のとき、店内の空気は柔らかかった。男はよく笑い、女は照れながらもその笑顔に引き込まれていた。どこにでもいる恋人同士のように見えたが、心の奥では「この関係は長くは続かない」と私は直感していた。

二度目の利用では様子が違った。女は最初こそ楽しげに話していたが、男の口数が少なく、笑顔に影が差していることに気づいたのだろう。次第に彼女の表情が曇っていき、グラスの中の氷を指で回す仕草に寂しさが滲んでいた。男は何かを言い出そうとしては口を閉ざし、逃げ場を探すように酒をあおる。私は黙ってグラスを磨きながら、二人の距離がわずかに開いていくのを見ていた。

そして今日。昼下がりに現れたのは女ひとりだけだった。予約もなく、扉を開けるその姿には、決意のようなものと同時に脆さが宿っていた。彼女はカウンターの端に座り、視線を落としたまま「一杯だけ」と囁く。声はかすかに震えていた。

私は彼女にグラスを差し出しながら、胸の奥で思う。この場所は、出会いも別れも静かに受け入れる器でしかない。私はただ見守ることしかできないのだ、と。

第2話 ― 男性目線

時計を気にしながら、昼下がりの扉を押す。
仕事の合間を縫ってここへ来るのは、楽しみであり同時に重荷でもあった。家庭に背を向け、嘘を重ね、誰よりも近くにいるはずの妻に対して言い訳ばかりしている自分。

初めて彼女とこの店に来たとき、心が久しぶりに解き放たれるのを感じた。彼女は不器用に笑い、真剣に話を聞いてくれる。会社でも家庭でも味わえない、安らぎの時間だった。あのときは、ただ彼女と一緒にいるだけで幸福だった。

だが二度目の利用の時点で、すでに胸の中で葛藤が始まっていた。家に帰るのが遅い日が続き、妻の視線は冷え切っている。子どもたちの前で笑顔を作る自分に嫌気がさす。
「もうやめるべきだ」――理性はそう囁く。
だが、彼女が目を輝かせて語る姿を見ると、言葉が喉に貼りついて出てこない。

その日、彼女の笑顔が次第に曇り、悲しげな瞳でこちらを見つめていることに気づいた。彼女は悟ったのだろう。自分がこの関係を続けられないと考えていることを。胸が締め付けられた。だが、どうしても言葉にできなかった。彼女を傷つけたくなかったし、自分の弱さを見せたくもなかった。

そして今日。予定も告げずに現れることはないと思っていた彼女が、この場所にひとりで来たと聞き、胸がざわついている。
私は来なかった。家庭の事情を理由に、自分に言い訳をした。だが本当は、怖かったのだ。彼女の本心と向き合うことが。

心の奥底で分かっている。
彼女はもう、ひとりで立ち向かおうとしているのだと。
そして私は、逃げることを選んでしまったのだと。

第2話 ― 女性目線

扉を開けた瞬間、昼下がりの静けさが胸に広がった。
彼と一緒ではなく、ひとりでこの店に来るのは初めてだった。

最初に来た日のことを思い出す。彼の隣で過ごした時間は、まるで夢のようだった。普段は堅苦しい会社の空気の中でしか会えなかった彼と、自由に笑い合えることが嬉しかった。私は経験が少ない分、そのひとときがすべての世界に思えた。

二度目の来店で、彼の態度に小さな違和感を覚えた。笑顔が減り、視線がどこか遠くを見ているようで。最初は気のせいだと思いたかった。けれど、会話を重ねるうちに分かってしまった――彼は距離を取ろうとしているのだと。

胸が痛んだ。私は真面目にしか愛せない。相手を信じ、全身でぶつかってしまう。だからこそ、彼の沈黙が刃のように突き刺さった。無理をして笑おうとしても、涙が喉の奥でつっかえてしまう。

そして今日。彼が来ないことは、最初から分かっていた。
それでも私はここに来た。
最後に、彼と過ごした場所の空気を吸い込みたかったから。彼に会えなくても、ここに座ればあの時間を思い出せる気がした。

カウンターに並ぶボトルを見つめながら、私は心の中で彼に語りかける。
「ありがとう。あなたを好きになれた自分を、私は後悔しない」

それでも涙は止まらず、グラスの中へ静かに落ちていった。

女子プロレス川崎にきたる❗

10月4日14時から
カルッツかわさき
にてプロレス大会が開催されます!
お店によくきていただいているお客様から数枚のご提供をいただきましたので、
プロレスを1度見てみたいという方をご招待します!
(良かったら当日売店で何かしら買っていただいたら嬉しいそうです(嬉しい))

興味のある方はお声がけください!
お待ちしてます😊

女子の試合中心で、
ウナギサヤカ選手などが参戦されるそうです!

おまかせパスタの具材

ミートソースを作りました!今回はマッシュルームを使って濃厚なソースを作りたいと考えました。細かく写真を撮りましたので創造しやすいと思いますので見てくださいませ。

先ずは玉ねぎを3個スライスして飴色になるまで炒めます。
マッシュルームを6個と大きい茄子を2個を2cm角に刻みます。
オリーブオイルで1キロのブタひき肉を火が通るまで炒めます。
自家製のベーコンとニンニクを6片を潰して入れます。
マギーブイヨンとトマト缶3缶に水400cc具材を入れて30分煮込んで火を切って20分休ませます。それを三回繰返し塩、小麦粉を加えて好きな粘土と塩味を調整して出来上がり。今回は13人前を作りましたので分量は作りたい量によって調整して下さいませ!またミートスパッティーだけではなくパンに着けたりいろんな料理に使えると思うので参考にして下さい。

井上尚弥VSアフマダリエフ

【井上尚弥試合中継イベント】
みなさんご存知かと思いますが今月の14日(日)は井上尚弥VSアフマダリエフの今回5度目の世界タイトル防衛戦に挑みます。

ビールでも飲みながら一緒に応援しませんか?
公式LINE限定で一緒に応援して井上尚弥が勝ったらテキーラショットを1杯ご馳走します☺️

テレビでは放送しませんしワザワザLeminoに登録して観るのも面倒かと思います。当日は14:30から始まりますが他の試合なので井上尚弥の試合は18時~20時かと思いますので18時からお店を開けますね❗
Leminoに登録や試合の詳しくは以下のリンクに確認して下さい。
井上尚弥VSアフマダリエフhttps://share.google/XTWlvm7KM9qp6KiHQ

barに纏わる小説【夜更けのカウンター第三部】


小説「夜更けのカウンター」

第三部 「過去と今をつなぐ夜」

 秋も深まったある晩、母娘は再び店を訪れた。
 母は少し緊張した面持ちで、娘はどこか決意を秘めた瞳をしていた。

「こんばんは、マスター」
「いらっしゃいませ。今日は……何か、大事な夜のようですね」

 二人は並んで腰を下ろす。
 母はウイスキーを、娘はホットワインを注文した。
 氷が落ちる音が、これから始まる話の前触れのように響いた。

 娘が切り出した。
「お母さん。実はね……少し調べてみたの」
 母の手が震えた。
「まさか……」
「ええ。お父さんの名前、昔の日記に書いてあったでしょう? 調べたら、まだご健在だった。もう引退してるけど、近くで暮らしているみたい」

 母はしばらく言葉を失った。
 長年、心の奥にしまってきた人物が、急に現実の姿を持ちはじめたのだ。

「会いたいの?」
 娘の問いに、母はしばらく考え、そして小さく首を振った。
「いいえ……私が会う必要はないの。もう別の人生を歩んでいる人だから。ただ……あなたがどうしても会いたいなら、止めはしないわ」

 娘は母の手を握った。
「私も迷った。でもね、今日ここで決めた。私は会わない。ただ、お母さんがどんな思いで私を育ててくれたのか、それだけ分かればいい。お父さんは遠い存在でいい」

 母の目から涙が一筋こぼれた。
「……ありがとう。本当に強い子に育ったのね」

 その瞬間、母と娘の間に長年の影が溶けていった。
 父を探す物語は、血の再会ではなく、母娘の心の再生として幕を閉じたのだ。

 マスターは静かに二人のやり取りを見守り、やがて一言だけ添えた。
「過去は変えられませんが、未来は選べますから」

 母は微笑み、グラスを掲げた。
「じゃあ未来に乾杯ね」
 娘もグラスを重ねる。
「うん、未来に」

 グラスが小さく触れ合い、澄んだ音が店に響く。
 その音は、過去を解き放ち、新しい時間を始める合図のようだった。

 夜更け、二人は肩を並べて店を後にした。
 月明かりに照らされた背中は、どこか軽やかで、希望に満ちていた。

 マスターは残されたグラスを磨きながら、小さく呟く。
「またひとつ、物語が終わった。けれど、きっと次の夜には新しい物語が始まる……」

 静かなバーには、変わらぬジャズが流れていた。

――第三部 了

barに纏わる小説【夜更けのカウンター第二部】


小説「夜更けのカウンター」

第二部 「母と娘の秘密」

 翌週の夜九時を回ったころ、再びあの女性が店の扉を押し開けた。
 だが、今度は一人ではなかった。彼女の隣には三十代半ばほどの女性が立っていた。大きな瞳と落ち着いた雰囲気。その表情には少し緊張がにじんでいた。

「こんばんは、マスター。今日は娘を連れてきたの」
「いらっしゃいませ。ようこそ」

 二人は並んでカウンターに腰を下ろした。
 母はいつものハイボールを。娘はグラスワインを頼む。
 照明に照らされた二人の横顔は、年齢の差こそあれど、血のつながりを映し出すように似ていた。

「お母さん、ほんとに変わったお店見つけたのね。静かで……落ち着く」
「でしょう? ここなら余計な耳もないし」

 母の声には、何かを切り出そうとする気配が漂っていた。
 娘は首を傾げる。

 やがて母は、グラスの氷を見つめながら言った。
「ねえ……あなたにずっと言えなかったことがあるの」
 娘の手が止まる。
「お父さんのこと?」

 母は小さく頷いた。
「若い頃、私は銀座で働いていてね。そこで出会った人が……あなたのお父さん。でも、その人には家庭があったの」
 娘は驚きと、どこか納得したような表情を浮かべた。

「だから、私は一人であなたを育てることにした。愛情が足りなかったかもしれないけれど、それだけは伝えておきたくて」

 沈黙が落ちる。
 店内のBGMが、静かに流れるピアノの音だけを響かせていた。

「どうして、今になって話そうと思ったの?」
「歳をとるとね……過去が急に重たくなるのよ。背負ったままじゃ、いつかあなたを傷つけると思ったの」

 娘はしばらくワインを見つめ、やがて口を開いた。
「お母さん、ありがとう。正直、少しショック。でもね……私はずっと愛されて育ったって分かってる。それで充分よ」

 母の目に涙がにじむ。
 彼女は慌てて笑顔をつくった。
「やだわ、私ったらお酒のせいね」

 娘は母の手にそっと触れた。
「ねえ、お父さんって、今どうしてるの?」
「それが分からないのよ。調べようと思えばできるのかもしれない。でも……怖いの」

 母の言葉に、娘は静かに頷いた。
 そして小さく、しかし確かに言った。
「私なら、知りたい。お母さんがどう思っても、私は知ってみたい」

 その言葉が、母の胸に重く響いた。
 長い間しまい込んできた秘密は、今まさに扉を開けようとしていた。

 その夜、二人が店を後にするとき、マスターはカウンター越しに軽く会釈をした。
 母は少し照れたように言う。
「ねえマスター、この店……不思議ね。来るたびに人生の続きを話さなきゃならない気がするわ」
「ここは物語の置き場所ですから」

 扉が閉まる。
 残された静寂の中、マスターは拭き終えたグラスを光にかざしながら呟いた。
「さて、次はどんな結末になるのか……」

――第二部 了


barに纏わる小説【夜更けのカウンター第一部】

当店を題材にしたフィクション小説を作りました。三部作で構成していますのでお楽しみに!
第一部 「銀座の残り香」

 夜八時を少し過ぎたころ、バーの扉が軋むような音を立てて開いた。
 その夜の最初の客は、背筋をすっと伸ばした白髪の女性だった。七十代とは思えぬ身なりの良さ。鮮やかなスカーフを首に巻き、唇には深紅の口紅。彼女は迷いなくカウンターに腰を下ろした。

「こんばんは」
 マスターが穏やかに声をかけると、彼女はにこりと笑った。
「いいお店ね。街のざわめきが聞こえない。隠れ家って感じだわ」

 彼女はメニューを見ずに言う。
「ハイボールを。濃いめでお願い」

 グラスに氷が落ち、ウイスキーが注がれる音だけが響く。
 その静けさの中で、女性はふっと肩の力を抜いた。

「私ね、昔は銀座で働いてたのよ。夜の蝶ってやつ」
「それは華やかな時代を過ごされたんですね」
「華やかさばかりじゃなかったわよ。お客に頭を下げ、泣き笑いしながら稼ぐ日々。けれど不思議ね……あの頃のこと、今も夢に見るの」

 少し低くなる。
「背広の似合う立派な人でね。大手企業の人。奥さんも子供もいたのに……馬鹿な話でしょう? それでも、彼が来ると銀座の夜がまるで宝石のように輝いて見えた」

 マスターは頷き、グラスを磨きながら耳を傾ける。
 客が言葉を紡ぐのを遮らないのが、この店の流儀だ。

「別れたあとに……妊娠が分かったの」
 彼女は声を落とした。
「伝える時間なんてなかった。もう彼は遠くへ行っていたから。私はひとりで娘を産んで、育てたわ」

 その言葉の重さを、静かなカウンターが包み込む。
 彼女は少し笑みを浮かべて続けた。
「幸せだったのよ。娘のおかげで。……でもね、最近になって、どうしても気になってしまうの。あの人は今どこで、どんな風に生きてるんだろうって」

 彼女は二杯目を頼み、少しずつ口に運んだ。
 明るい口調に戻りながらも、その笑顔の奥には長年しまい込んできた迷いが見え隠れする。

「ごめんなさいね、こんな昔話。お客を楽しませるのが仕事だったのに、私ったら」
「ここは楽しむ場所でも、吐き出す場所でもありますから」
 マスターは静かにそう答えた。

 彼女はしばらく黙ってグラスを見つめ、やがて小さな声で言った。
「もし……あの人に娘の存在を伝えたら、人生は変わっていたのかしらね」

 答えの出ない問いが、グラスの底で揺れていた。
 その夜、彼女は三杯目で止め、会計を済ませるとまたにこりと笑った。
「いい店だった。また来るわ」

 扉が閉まり、静けさが戻る。
 マスターは磨き終えたグラスを棚に戻しながら、小さく呟いた。
「また、物語の続きを聞かせてください」

 外は秋の夜風。
 カウンターには、まだ彼女の残り香と、語られなかった想いが漂っていた。

――第一部 了

六郷土手平和祈念花火大会

今年も花火大会が開催されて良かったです。一時期コロナでやっていませんでしたが、今回開催されてとても嬉しいです。当店は毎年お店から少しだけ遠くに見える感じで音はとても大きいので迫力はあります。近隣の皆様には是非ともビール片手に見て楽しんで欲しいと思いました。

へ音連合演奏会

2025年10月11日にご来店頂いているお客様が演奏会に出ますのでご連絡致します。そのお客様はトロンボーンを吹いていて、へ音で音を奏でる?ようです。私は詳しくないですが一度見に行ったことがあり、その時は全て管楽器でとても良かったのでオススメします。しかも無料なので近くにお住まいのかたは見に行ってみてはどうでしょう?最寄り駅は新大久保駅で住所は新宿区百人町2-8-9です。問合せ先は090-3699-9908です。私は以前見に行った時は新大久保と言えばチーズタッカルビ❗と思ってネットで調べてお店に行きましたが値段が安いセットで頼んだのが悪かったのか?私がバカ舌なのか?いまいち美味しく感じませんでしたがお店が山ほどあるので本場のチーズタッカルビを食べてみてはどうでしょう😃